【読書】懐かしい『エルマーのぼうけん』
懐かしい懐かしい『エルマーのぼうけん』!
最近児童書のよさを再発見していろいろ読み直してるんだけど、やっぱはずせないよね、エルマー。
小学校1年生くらいのとき、長野の祖母の家に遊びにいったとき、近所の昔ながらの本屋さんで買ってもらって読んだ。
この表紙のジャングルの絵!綺麗な色調でやわらかい雰囲気なのに、ちょっと怖くて怪しげな空気感もあって、不思議な魅力を感じる。
エルマーのファションも斬新だしね。なにその帽子。
表紙だけでもずっと眺めてられるわ。
でも、エルマーの魅力はなんといっても、このマップだよね。
みかん島とどうぶつ島のちず。エルマーの冒険の軌跡が書かれている冒険マップ。
本文を読み終わったら、このマップを見ながら冒険を振り返って二度楽しみましょう。こういうマップって、ぐっとくるよねぇ。大人のわたしでさえわくわくするんだから、子供は絶対とりこだよ。島の周りに描かれてる魚やタツノオトシゴも、好きだなぁ。
表紙とマップはカラーなんだけど、中面のイラストは全部白黒で、多分鉛筆で書かれていてそれもとても怪しげな感じで魅力的。
りゅう、かわいい。
昔読んだときはすっごいドキドキわくわくしたような気がするけど、やっぱり今読むとちょっと物足りなさを感じるなあ。当たり前だけど。いろいろな刺激を受けまくって、幸せのハードルが上がったんだなぁ、ちと寂しくもある。
意外とエルマーが大人びていて、エルマーの子供らしさや人間味があんまり描写されていないのも発見だった。次々と登場する動物たち(エルマーの敵)の方がよっぽど人間っぽくて、そのあべこべ加減がとてもシュール。物語をエルマーに語らせる形式にしたら、また変わってくるかもね。
- 作者: ルース・スタイルス・ガネット,ルース・クリスマン・ガネット,わたなべしげお,子どもの本研究会
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1963/07/15
- メディア: ハードカバー
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読むときはみかんとチューインガムを手元において読むと臨場感でそう。
他のエルマーシリーズも読みなおしたい!
【絵本】『つみきのいえ』
絵もおはなしも本当にすてきな絵本。
「アヌシー国際アニメーションフェスティバル」で最高賞を受賞したアニメの描き起こし絵本。
変に教訓が込められているわけでもなく、とっちらかっているわけでもなく、ただ心が強く揺さぶられるおはなし。
こういう終わり方の絵本って、本当にすてきだなって思う。好きだなあ。
絵は、水彩+色鉛筆かなあ?
味があって本当にすてき。
映像作品のほうも似たようなタッチだったけど、どうやって作ってるんだろう。
素晴らしいなあ、ほんと。
映像と絵本では、ディテールとラストがすこし違った。
たぶん、子ども向けにすこしわかりやすくしたんだろうなと思う。
「キセル」とか「ワイングラス」っていうワードが子ども向けではないって判断されて、絵本では別のものに置き換わってた。
「キセル」と「ワイングラス」はこの作品のキーワードな気がするから、絵本でもそのまま使ってほしかったというのが本音。
わたしなら、そこは大事にするかな。
「キセル」と「ワイングラス」が物語をつむぐ映像の方が、泣ける。
YouTubeに映像のプレビューあった。
本編はNetflixでみれる。
ほんとに泣ける。
【絵本】『ちいさいおうち』バージニア・リー・バートン
- 作者: ばーじにあ・りー・ばーとん,いしいももこ
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1965/12/16
- メディア: 大型本
- 購入: 3人 クリック: 33回
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作者のバージニア・リー・バートンは、1909年アメリカ生まれの絵本作家。
代表作のひとつである『ちいさいおうち』は1942年に、彼女の次男に向けてつくった絵本とのこと。
「古きよきアメリカ」という時代背景の中でつくられた絵本なんだね。
お話の流れはこんな感じ。
ちいさいおうちはのどかな田舎に建っていた。春夏秋冬、四季折々の自然と人々の暖かい営みに囲まれて、静かにすごしていた。しかしある時、おうちの前の道が舗装され、たくさんの車が行き交うように。やがて電車が通り、背の高いビルが建ち並び、おうちの周りはすっかり都会になってしまう。人々はせわしなく季節も感じられない。おうちに住む人はいなくなって、どんどんボロボロになっていく。しかしある日、おうちに住んでいた人の孫が偶然にもおうちに目をとめる。その人は自分の祖母の想い出をなつかしみ、おうちを田舎に移設する計画を思いつく。街の人々が見守るなかおうちは運ばれ、以前建っていた場所にそっくりなのどかな田舎に移される。また静かな日々を手にしたおうちは、もう二度と都会には行きたくないと強くおもう。
バージニアは、きっとどんどん都内化され失われていくアメリカの田舎の風景に、強い愛着を感じていたのではないかな。
きっと、そういう時代だったんだね。
ラストに、わたしはとても、もの悲しさを感じてしまった。
だって、静かな田舎に移され再び平穏な日々を取り戻したおうちだけど、またそこも都会になってしまうリスクがあるでしょう。
今度はいつまで、この平和な毎日が続くんだろう。そんな不安をかかえながらおうちはただただそこに建ち続けるしかないんだなあ。
そう思うと、切ないし、かなしい。
それはさておき、この絵本、絵がとても素晴らしい。
アメリカンカントリーののどかさも、都会のせわしなさも、圧巻の絵で心に響く。
おうちはそのまま、周りがどんどん変わっていく様子が、そのスピード感がリアルに感じられる。
絵を眺めるだけでも、小一時間楽しめる、そんな絵本。
もともと建物や街の絵が好きだからかな、この絵本の絵はとてもいい。
ちょっと文字が多いから、小学生くらいの子ども向けかな。
大人でも十分楽しめる。
【キャラクター】ブシ郎
キャラクター作りの練習で一番最初に考えたやつ↓
カツオ節のブシ郎。
「有機物と無機物でいったら、無機物の方がレアでおもしろいかもよ」
っていう先生のアドバイスが頭の中でぐるんぐるんした結果、カツオ節になった。
カツオ節は無機物ではないけど…笑。
はじめ、猫をモチーフにしようと思ったんだけど、猫ほどコモディティなキャラはないだろうということで、でも猫から思考が抜けきれず、カツオ節。
アンパンマン的な活躍ができないかしら?と思い考えをめぐらせる。
- アンパンマン:いくら食べられても新しい顔がとんでくる。不死身。
- ブシ郎:食べられたらもう終わり。
アンパンマンとはちと違うか。
熱々のお好み焼きの上で踊り狂ったり、熱々の鍋の中で出汁とられたり…。
イメージしてると、なんか激しくかわいそうな境遇になっていく。
母は文字通り身を削ってブシ郎を産んだんだなあとか、トムとジェリーのトム的な天敵猫がいたり、妄想は止まらない!
だめだ、カオスになっていくwww
まあ、練習だけどね。
でもカツオ節はなかなか気に入った。
【読書】『火星に住むつもりかい?』伊坂幸太郎
伊坂幸太郎さんの新しいやつ。
今作もすごかった。
現実感のあるディストピア群像劇、って感じ。
舞台は例のごとく、仙台。
仙台ってところが、妙にリアリティを醸し出している気がする。
まあ仙台チョイスは、作者の母校が東北大学だから、という理由だと思うけど、リアリティの増幅には一役買ってると思う。
最初からショッキングな話で幕をあけ、胸が締め付けられるようなストーリー展開に挫折しそうになる。
かなりのストレス。つらくて途中で読むのをやめたくなる。
でも、このストレスの先に、視界が開けるような爽快な開放感を味わうことができるのだから、と言い聞かせ、読み進める。
そうしたら、ほらね、やっぱり伊坂作品は裏切らない!
見事に伏線が回収され、ストーリーが思いもよらなかった方向に展開していく。
つらかったけど…読んでよかった!この爽快感はやめられない。
テーマは「現代の魔女狩り」。
公権力が暴走し、なんとも息苦しい監視社会ができあがる。
大衆はその状態を甘んじて受け入れつつ、「魔女狩り」の処刑シーンに興奮し、残酷性を加速させる。
生々しいギロチンの描写に目を背けたくなる。
ここまでがなんともつらくて、ストレスフルだった。
そこを乗り越えると、ストーリーの速度がどんどん増していき、もう途中でやめるなんてできないんだよね。
つらく苦しい中に登場する一人のヒーロー。
公権力に逆らって、おかしな社会に風穴を開けてくれるのでは!と期待が膨らむ。
でもね、単なる正義の味方ではないところがミソ。
人が正義をふりかざす時には、いろいろな理由があるもの。
その描き方が見事でした。
こっちの正義は、あっちの悪。
要はバランスだよね、っていう言葉に、全てが集約されていく。
はぁ〜、面白かった!
読みごたえ、満点だったぜ。
【読書】『産まなくても、産めなくても』甘糟りり子
ちょっと前から読んでいたこの本。
『産まなくても、産めなくても』(甘糟りり子)を読んでる。まだ途中なんだけど、これたくさんの人に読んで欲しいな〜って思う。女性も男性も、20代も30代も40代も50代も。産むことが命がけなんだってことも、産めないことの現実も、産まないという選択についても、全部リアルに生々しく描かれてる。
— noppe (@s_noppe) 2018年6月4日
読み終わった。余韻がものすごい。
いい本って、心に長く余韻が残るんだよね。
本当にすごい。
タイトルが少し重たい印象を与えているから、なかなか手が伸びないかもしれないけど、本当にいろんな人に読んでほしい。そして考えてほしい。
そんな本です。
7つの短編からなる小説で、ひとつひとつのお話が、3つのリアルを伝えている。
子供を産むことのリアル。
子供を産まないことのリアル。
子供が産めないことのリアル。
どのリアルも、それぞれに苦しくて、それぞれに尊い。
ただ、ごく個人的な感想として、「子供を産まない」という選択や「子供を産めない」という境遇を、もっともっと尊重したいな。
もちろん、子供を産んで愛情を注いでいる世界中の親たちのことを尊敬していることは前提として。
産んでも産まなくても産めなくても、すべての大人が自分の人生を生き生きと楽しみつつ、子供たちの成長に責任を持ってコミットできるような社会であるといいな。
これ、本気で思ってる。
ちなみにひとつ新しい情報として驚いたのは、特別養子縁組って夫婦のどちらかが専業主婦(主夫)でないと里親になれなんだね。知らなかった!
年齢制限があるのは知ってたけど、専業主婦(主夫)じゃないとダメだっていうのが新しい知識だった。
専業主婦(主夫)になれるってことは経済的に余裕があるってことで、つまり養子になった子供も経済的に満たされることで不安要素が一つ減るわけだから、そういうものなのかな。
産めない人が夫婦働きながら特別養子縁組をして子供を授かり、産んだ人と同じように様々な助けを借りながら、社会的なサービスを受けながら子育てをする、ということも別にありなんじゃないかと思うけどね。人の一生にかかわることだから、慎重にならざるをえないのか。
実にいろいろなことを考えさせられる、良書です。